溺れるほどの愛を
「で、これからあなたどうするの?」
「え?」
「身なりからして無一文って感じ?」
「あ、はい。これからどうしようかと・・・」
「そう言えばあなたぐらいの子が最近ここに引っ越してきたから」
「どんな子でしたか!?」
「え?」
「その子はどんな子でしたか!?」
「えーとね」
莉音であってほしかった。
でも莉音は高校に通っている為
こんな田舎に引っ越す訳がないと思いつつ期待をしてしまう。
でも澄と付き合うんだっけ、じゃあここにはいないか。
何期待してんだか
「確か、土地を買って家を建てた子だったかな?」
「金持ちって感じですか?」
「いやぁ、そんな風には見えなかったけど。なにしろ」
「なにしろ?」
「なにもかも捨てて此処に来たって噂だけど」
「なにもかもですか?」
「ええ、若いから何かあったとは思うわよ」
「そうなんですね」
「でも少し奇妙なのよ、あの子」
「奇妙?」
「それがね」
その一言に俺は衝撃を受けた。