midday crow

親愛なる友人

「焔、そうやきもきしなくても」

苦笑寸前の微笑みで彩人は友人を宥める。

嫌そう、というより困惑したような紅羽を太陽のところに残して、焔を連れ出してきた。

二人は部室がある三階から、一階の自販機を目指して歩いている。

「別に」

と素っ気ない焔は、時々後ろを振り返っているのを気づかれていないとでも思っているのだろうか。

背が高くあまり笑わない焔は、一見冷たい男のように思われる。

物事を理屈で考えて、基本冷静なところも、第一印象に拍車をかけている。

実のところ、結構優しく面倒見もよく、思考も筒抜けなのだが。
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