midday crow
「……紅羽ちゃんに嫉妬してる?」

小さな呟きは焔に届いたらしい。

ぎくり、と彼の背中が強ばった。

あ、当たっちゃった、と彩人は少し反省する。

気づかないふりをすればよかった。

「……彩人」

油が切れたブリキ人形のごとき動きで焔は振り返り、無理に作った仏頂面を見せる。

「別に全然そんなことはない」

「うん。わかった」

波風立てないことをよしとする彩人は素直に聞き入れる。

たとえ、新参者の紅羽を太陽が気に入っていることに、焔が嫉妬していることが察せられてもだ。
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