midday crow
無言で歩いているうちに自販機が見えてくる。

「焔、コーヒー奢ってあげる」

「なんで、突然?」

「いいからいいから」

焔の頭を撫でてあげたいような気分だ。

やったら怒るだろうから、コーヒーを奢ってやることにする。

背伸びをする小学生を見るような目になっている彩人を、焔は不審そうに見ているが、奢りなら、と素直にコーヒーを受け取った。

ちびちびと缶コーヒーをすする焔は俯いている。

何の気なしに、彩人は三階に目をやった。
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