midday crow
目の前で紅羽がキーボードに触れている。

太陽は、彼女の伏せられた目を眺めた。

睫毛が長い。

さらりと流れる髪は、春より伸びたようである。

艶やかな指通りであることを、太陽は知っている。

「……太陽くん? やるならやるよ」

なぜか紅羽は先ほどから機嫌が悪い。

そういう太陽も良くはない。

お互い若干むすっとしているので、必然的に空気が重くなる。

狭い部室ながら焔と彩人は窓際に移動し、太陽たちの邪魔にならないように気を遣っている。
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