midday crow
凛は、追試前に勉強していたときよりも余裕のある声である。

どうやら、太陽同様、切り抜けたようだ。

師である七瀬のおかげと言っていいだろう。

「じゃあ三上なら?」

紅羽はすっかり教室に入るタイミングを見失っていた。

教室の中が見えない位置で、つまり教室からも紅羽が見えない位置で、困った顔で立っている。

盗み聞きをするようなことはしたくないが、ここで扉を開けて中に入って、自然に振るまえるだろうか。

そもそも、太陽になんと言えばいいのかもまだ判然としないのに。

迷っているうちにも会話は進む。
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