midday crow
うああ、と机に突っ伏す太陽の姿が見えるようである。

「くそ……紅羽のやつ……」

「どんまーい」

「諦めなよ」

「もし紅羽が、クロウ以外のやつのためにキーを弾きたいとか言ったら、俺はめっちゃ不機嫌になるのに……」

太陽が漏らした言葉に紅羽はどきりとした。

クロウは、midday crowのことだ。

紅羽は思わず教室に背を向けて、来た道を引き返していた。

どうして太陽は、素直にそんなふうに思えるのだろう。

ためらいなく感情を表に出せるのだろう。
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