midday crow
紅羽が表面化させる感情は、機嫌が悪いときのものくらいだ。

願望や歓喜は、もし思っていたとしても、相手には言えない。

あっさり言ってのける太陽が遠い存在のように、そして眩しい存在のように思われる。

無自覚に早足で歩き、気がついたら部室の前まで来ていた。

いかん、いかん。

深く呼吸をして、もう一度踵を返す。

今度こそ、話の内容なんか聞かず、タイミングなんて窺わず、思いきりドアを開けてやる。
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