midday crow
顔を歪めて、太陽の声に背を向ける。

一体何度この廊下を往復すればいいのか。

紅羽は俯いて力なく足を動かす。

部室前まで来たはいいが、中に入るのも気が重い。

古くさいドアを見るともなしに見ていたら、それが中から開いた。

開けたのは彩人だった。

「あれ、紅羽ちゃ……」

言いかけて彼は言葉を呑み込んだ。

紅羽の普段とは違う様子に気づいたのだろう。

静かにドアを閉めて、紅羽の腕を掴んで歩き出す。

向かう方向は太陽たちがいる教室ではなくて、階段があるほうだ。

柔らかく彩人に引かれながら、紅羽は大人しくついて行った。
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