midday crow
彩人もか。

「どうしよう……」

人は、途方に暮れていると、どうしようと言ってしまう生き物らしい。

「私、いつかクロウを辞めるのに」

口に出すと言葉の重みが染み込んでくる。

彩人が相槌を打たず、やけに静かな空気が流れた。

居心地の悪い沈黙である。

なんだか嫌な予感がして、隣の彩人に目を向けた。

彼は首を捻って階上を見ていた。

その顔は、「やってしまった」とでも言うかのようである。

恐る恐る紅羽も振り返った。

階段の一番上に、焔が突っ立っていた。
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