midday crow
「……えー……と」

片手を額に触れさせて、なんとか上手い答えを探してみる。

冗談……? まさか。無理すぎる。

いつか卒業するから、という意味で……。……苦しいな。

聞き間違いとは……思ってもらえないよな。

「んんん……?」

誤魔化せない……か?

「紅羽ちゃん、紅羽ちゃん」

彩人が呼ぶので彼のほうを見た。

「いい機会だよ、むしろ。言っちゃえば?」

「……んあー」

焔に聞かれてしまったのは、いつかクロウを辞めるという台詞だけ。

光輝のことには触れず、どうにか誤魔化そうと紅羽は考えていた。

しかし彩人が言ったのは、この際光輝のことも打ち明けてしまえば、ということだ。
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