midday crow
太陽は呑気なものである。

紅羽は距離が近づきそうで、あまり乗り気ではない。

浮かない顔の彼女を覗き込んだのは彩人だ。

「紅羽ちゃん、嫌だった?」

「え。……そんなことは。戸惑っただけ」

彼は勘がいい。

悟られないようにしなければならない。

勘がいい、という点、焔もそう思われるが、あれは賢いが鈍感らしい。

「嫌なことあったら、ちゃんと言ってね」

気遣いの言葉に、紅羽は曖昧に笑うしかなかった。
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