midday crow
ずっこけようかと思った。

男子は紙パックのカフェオレを飲むのをやめ、露骨に呆れた目を向日葵に向けている。

「え、えっ?」

「前に聞いたよ……」

「あっ、そっか、そうですよね」

なんだこの子は天然か可愛いな。

紅羽はそんなことをしみじみ思ってしまう。

「えっと……、あ、こいつは藤です」

こいつ、と指さされたのは例の男子である。

小さく首を動かしただけで、彼は一切なにも喋らない。

「はあ。……烏丸紅羽です」

ここまできて名乗らないわけにもいかなかった。
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