midday crow
「……そんな適当な男、やめときゃいいのに」

ボソッと呟いた声が聞こえて、誰だと思ったがここには三人しかいないのだった。

黙りこくっていた藤だった。

「藤! なんでそういうこと言うの!?」

目尻を吊り上げる向日葵から目を逸らしつつ、藤は悪びれない態度だ。

あなたのことを好きだからだと思います。

とは、察しても言わないほうが、きっとよいことだ。

「えっと、訊きたいのはそれだけ?」

話が進まなさそうだったので思わず言ってしまう。

向日葵ははっとして、考え込むように眉間にしわを寄せた。
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