midday crow
緊張気味に零れたその言葉が、紅羽に多大な衝撃をもたらしたとは、向日葵は思っていないのに違いない。

紅羽は目を見開いて、僅かに息を止めていた。

考えもしなかったことだ。びっくりした。

体の中で心臓が存在を主張し始める。

向日葵に気づかれないように、唇の内側を噛んだ。

「……好きじゃないよ」

そう言うと、なんだか虚しくなった。

聞いた向日葵が、安堵で顔を綻ばせたのを見て、ひどく罪悪感が込み上げてくる。

どうして罪悪感?

自分でもわけがわからなくて眉をしかめそうになる。
< 216 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop