midday crow
「くれはさん」

紅羽を呼んだのは藤だった。

少なからず紅羽は驚いた。彼は、無関心を決め込むものと思っていたから。

気だるそうに藤は紅羽に身を寄せる。

避ける気にならず、彼が耳元で囁く言葉を聞き取った。

「太陽さんと付き合ってよ。俺、向日葵に失恋してほしいから」

「…………」

なかなかいい性格をしている。

紅羽が向ける呆れた眼差しに気づいているだろうに、藤は平然と椅子に座り直した。
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