midday crow
だが、聞いてくれと言われて断る理由もない。

藤は無表情に話し出す。

「向日葵が、太陽さんのこと諦められないんだって」

「……うん」

「でも俺は、太陽さんはくれはさんのことが好きだと思うから、向日葵にそう言った。そしたら泣かれた」

「…………」

太陽は紅羽のことなど好きではなかろう……。

「なにが悪かったのかな」

「……そもそも藤くんは、向日葵ちゃんの恋を応援してないんだから、意見が合うわけないんだよな」

「あ」

なるほど、と藤がわずかに目を見開いたのを、呆れ半分紅羽は眺めた。
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