midday crow
紅羽はそれを言うのにだいぶ時間を必要とした。

息を吸ってー、吐いてー。

覚悟を決めて、彩人の耳に唇を寄せる。

「もしかして、太陽くん、私のこと……」

震える声で、言ってしまった。

「……好きなの?」

「うん。俺はそう思う」

あっさり彩人は返答して、紅羽は喉を凍りつかせて座り直す。

「…………」

「なに言ったんだ?」

紅羽がわざわざ内緒話をするように彩人に訊いたのは焔に知られたくなかったからなので、それはスルーする。

「……まじか……」

ほとんど吐息だけで囁いた。

目の前が眩むようだった。
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