midday crow
かいつまんで経緯を話す。

「……つまり藤くんは向日葵ちゃんのことが好きで、太陽と紅羽ちゃんに上手くいってほしいわけだ……?」

「そ……だね。あ、もしかして、藤くん当て馬になったのかも」

「当て馬に……? あ、つまり、太陽を刺激するために、目が合ったあとで紅羽ちゃんと距離を詰めたと?」

「かもしれない」

「有り得る」

疑問が氷解し、事実が共有されたところで、紅羽と彩人はこの場にいたもう一人の存在を思い出した。

「あ」

「あ」

疑問符を頭の上に飛ばし、会話に入れず黙りこくって、疎外感による悲しそうな顔を浮かべた焔だった。
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