midday crow
「紅羽ちゃんは太陽のことどう思ってるの?」

ああやっぱり。

それを訊かれると思っていた。

夏なのに、どことなくひんやりしている階段を下りながら、紅羽は無意識にため息をつく。

紅羽は、もし太陽が自分のことを好きなら困る、と真っ先に思った。

なぜなら、……不本意ながら紅羽も多分、太陽が好きだからである。

藤の言う通りになっているようで楽しくはない。

それから紅羽には、太陽に隠していることがあって、……それが後ろめたい。

だから困る。
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