midday crow
一人は、彩人の知らない相手だったから。

もう一人は、まだ決心が固まっていなかったから。

目を瞑り、軽く首を振る。

次に目を開いたときには、まっすぐな光を湛えていた。

その目で彩人を見つめる。

心配しないで。私に任せてほしい。

言葉にはしなかったけれど、聡い彼には伝わったはずだ。

「……わかった」

彼は薄く微笑んだ。

「信頼してる」

「うん」

信頼を裏切りたくない。

これから紅羽は、自分と、相手とに、まっすぐに向き合っていく。
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