midday crow
花壇にちらりと目をやった。

校舎の壁に寄り添うように設えられた小さな花壇だが、咲いている花は雫を宿して可憐に揺れている。

きっと向日葵の自慢なんだろう。大切なんだろう。

「今までちゃんと見たことなかったけど、すごく綺麗」

「ほっ……ほんとですかっ」

ぱあっと向日葵が顔を輝かせる。

自然と紅羽は微笑んでいた。

「えっと、これがハナスベリヒユで、こっちが百日草です。あ、中庭にはノウゼンカズラも咲いてますよ!」

嬉々として語るのは結構だが、あいにく紅羽は花に造詣が深くない。

わかる花はないものか、と視線を動かすと、花壇ではなく鉢植えに植わっている黄色があった。

「あ、ヒマワリ」
< 267 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop