midday crow
「あのね。前に私は、太陽くんのこと好きじゃないって言ったけど」

紅羽が向日葵を探したのは、以前の発言の訂正を伝えるためだ。

数週間前のあのときは、嘘ではなかった。

自覚をしていなかったからだ。

でも、今となっては、もう嘘だ。

紅羽は、嘘をつくのは得意ではない。

つきたいとも思わない。

わざわざ宣言しにくるのもどうかとは思ったが、向日葵は誠実だった。

誠実には誠実で応えたい。

そして、しがらみの精算の、足がかりにしたかった。

太陽に恋心を伝えるなら、クリアな状態がいい。
< 269 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop