midday crow
「……好きじゃなくなかった。好きだった」

ごめん、と言うのは違う気がして、断固として言うまいと口を噤む。

謝らなければならない理由はないはずだ。

たとえ、向日葵が、ショックを受けた悲しそうな顔をしていても。

「そ……なんですか」

ふっと彼女は俯いてしまう。日差しに照りつけられていても、影で表情はわからない。

どのくらい、二人そこで立ち尽くしていただろうか。

ぽつり、と向日葵が言葉をこぼした。

「意外じゃ……ないです。藤が、そういうようなこと、言っていたので」

「……そ、そっか」

さすがにまごつく紅羽である。
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