midday crow
紅羽の予想通り、太陽は我らが軽音楽部の部室前で歩を止めた。

ポケットから鍵を取り出し、カチャリと開ける。

なんとなく、いけないことをしているような気がした。

紅羽はもう抵抗せず、引かれるままに部屋に入る。

バタン、と太陽が扉を閉めると、やけに空気が濃くなった。

「避けてただろ。やっぱり」

「避けてないってば」

子どものようにそんな言い合いをする。

「じゃあ」

太陽が手を伸ばしたので紅羽はぎくりとした。

彼の指が紅羽の頬に触れる。

「聞いて」
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