midday crow
「……なんで、黙ってた……?」

「私は、光輝が戻ってきたら軽音楽部を退部するつもりだった。……つまりバンドも辞めるつもりで」

「なんで」

「だって……太陽くんたちは、光輝の方がいいでしょう? そうなったときに、私と光輝が知り合いだと、なにかと面倒くさいかと思ってた」

ごめん。

放り出した言葉は震えてはいなかったが、内心は恐怖でいっぱいだった。

拒絶される恐怖だ。

「……今でも?」

「え?」

「今でも辞めるつもりなの?」

直視できなくて俯いていた顔を上げ、怖々と太陽に目をやった。
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