midday crow
それからいつもの放課後に戻るかと思われたが、太陽が話したいことがあると声を上げた。

散らかした楽譜を片づけてから、車座に椅子を持ち寄り、話を聞く体勢を整える。

開け放した窓から、ドアの向こうに風が抜けていく。

演奏中はドアを閉めているので、空気の流れが心地いい。

「文化祭で、ライブをやる」

太陽は順序立てることのできない人なので、いつも本題からだ。

「ライブ。……去年は確か、できなかったんだっけ?」

その頃紅羽は赤の他人も同然だったのだが、光輝から悔しそうな顔で愚痴られたことがあった。

光輝が地団駄まで踏んで憤ることが珍しくて、愚痴の内容は正直覚えていないが、とにかくできなかったらしい。
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