midday crow
ガクン、と首が前に落ちた。

いかんいかん、と立て直そうとするも、眠くて重くて上がらない。

もーいーや、と紅羽は再び突っ伏した。

「来て。待ってるから。光輝に聴いてほしいんだよ」

電話の向こうから返事はない。

紅羽は、電話が切れる前に言わなければいけないことを言ってしまおうと舌を動かす。

「私、もうクロウを辞められないよ。譲れなくなっちゃった。四人で音楽してたい……」

『……うん』

光輝の感情は読み取れない。

紅羽は眠い頭で、心のままに言葉を吐き出していた。
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