midday crow
紅羽も呆気に取られていたが、太陽の無邪気な笑みを見ていると、なんだかつられて笑ってしまっていた。

「私はいけるよ」

「烏丸まで!」

「正直、残りあと……二十分くらい? 練習してても劇的には変わらないよ。だったらいつ行っても同じ」

「それな。俺らなら大丈夫だって! いつでも、どこでも、最高の演奏ができるだろ」

二人の視線に射抜かれて、焔は言葉に詰まっていた。

次第に諦め、気持ちを切り替えたのか、わかったと小さく呟いた。

ふー、と聞こえてきたため息は彩人のもので、髪をかき上げながら苦笑した。

「太陽も紅羽ちゃんも突っ走るし、焔は絆されるし……。世話が焼けるよ、ほんと」

言いながら腰を上げたので、了承ということだろう。

太陽は長谷部に力強く頷いた。
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