midday crow
急遽、ドラムセットを野外ステージに運び出すことになる。

長谷部も加えて五人がかりで、手早く行われていく。

下に荷物を運び、部室に戻る廊下で、サッシンを抱えた彩人とすれ違った。

「紅羽ちゃん、ありがと。もうペダルしか残ってないけど」

「おっけー、持ってくね」

「よろしくー」

そして部室には、彩人の言葉通り、バスドラのペダルしか残っていなかった。

ひょいと片手で持ち上げ振り向くと、ちょうど太陽がやってきたようだった。

「あれ、もうなんも残ってねーの!?」

「ないよ、これだけ。途中で彩人くんと会わなかった?」

「見てねー! 違う階段使ったからか!?」

彼はいつもよりテンションが高い。

呆れる気持ちもあるのに、微笑ましくて紅羽は頬を緩めた。
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