midday crow
「行こっか。時間ないし」

「おう。……な、紅羽」

「なに?」

扉のすぐ近くに立っている太陽に歩み寄ると、彼はなぜか部室のドアを閉めてしまった。

「?」

「あのさ、あのさ。……キスしていい?」

真剣な顔と照れた顔の中間みたいな表情で、そんなことを太陽は言いやがった。

紅羽は絶句する。ペダルが手から滑り落ちそうになる。

次いで赤面した。

「だめ」

「えーなんでー!」

理由は色々ある。

気合いを入れてきた赤リップが落ちる。時間ない。人来るかもしれない。

今キスされたら、演奏どころじゃなくなりそう。
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