midday crow
「だ! め!」

スコン、と右手で太陽の頭に手刀を落とした。

「えー!」

ぶつくさ文句を垂れる太陽を放って、紅羽は一人で廊下に出ていく。

しばらくしてから彼が追いかけてきた。

紅羽の手からペダルを抜き取りながら、若干上目遣いで訊ねてくる。

「じゃあさ、じゃあさ、ライブ終わったら」

「……ライブ終わったら、光輝とっ捕まえて話すこと、たくさんあるでしょ」

「あ。……確かに」

うーん、と太陽が黙ったので、……少し名残惜しい気持ちを隠しながら紅羽は階段を降りる。

と、ぐいっと腕が引き寄せられた。
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