midday crow
野外ステージ上に姿を見せると、彩人が気づいて手を振った。

「ありがと……あれ、太陽いつの間に上行ってたの?」

「さっきー」

ペダルを彩人に渡しながら、へらりと太陽が笑ってみせた。

「お客さん、やっぱり昨日より多いなー!」

幕など隠すものがないので、互いに様子は丸見えだ。

野外ステージのすぐ前は簡易フードコートのような場所で、昼過ぎという時間帯もあり、なんとはなしに眺めている人々が大勢いる。

「……緊張するな」

ベースを吊り下げ所定の位置についた焔は、硬い表情で呟いた。

やはり、同校の生徒たちだけと、一般客も含む観客とでは、プレッシャーのかかりようも異なる。
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