midday crow
「そうか?」

ギターを掴みあげ、軽く指で弦を弾きながら、太陽が三人に向けて破顔した。

好戦的に、野性的に、なにより、最高に楽しいと言わんばかりに。

「光輝に聴かせるってのは最終目標だけど、もちろんそれだけじゃない。ここにいる人たちみんな、釘付けにしてやる」

キーボードの前に佇んで、紅羽はふっと目を細めた。

なんて眩しいんだろう。

誰もが太陽から目を離せまい。失われない、この輝きからは。

「……うん。やろう」

「そうだね。怯んでる場合じゃないよ、焔」

「……別に、怯んでなんかない」

「ああ。どこまでも自由に、高く、遠く。響かせるぞ」

最高の演奏を。

数瞬の目配せのあと、ドラムセットの中央に陣取る彩人が、力強く開幕を叩き宣言した。
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