midday crow
「あー、ライブ、もう始まってるよー」

「うそ、まじで? 予定より早いじゃねーか」

浮かれた校舎内を急ぎ足で駆け抜けていくのは、七瀬と凛だった。

昨日はシフトの関係で拘束されていたので、今日を楽しみにしていたというのに。

「一曲目が終わったーっぽいかなー」

「まじかー観たかったのに」

「今度軽音楽部におじゃまするー?」

「迷惑だろ、だめだ」

「まじめなんだもんなー」

「常識だ」

ああだこうだ言い合いながら校舎を走り出れば、一気に音が近くなった。

「うわ、……すごいな」

「ねー」

なるべく近くで見ようと思ったが、野外ステージの前には幾重もの人垣ができており、太陽たちの姿は背伸びをしてなんとか視界に入るくらいだ。
< 328 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop