midday crow
「……太陽、先輩……っ」

ステージ前の群衆に埋もれて、向日葵は半泣きで太陽を見ていた。

「めっちゃ、もうものすごく、かっこよすぎる、好き……」

「くれはさんとかのがかっこいーでしょ」

「くれはさんもかっこいいけど」

向日葵の隣に佇む藤は、当然ながら仏頂面だ。

向日葵はライブが始まる前から泣いていた。

笑う太陽をひたすら見つめて、その度に涙を零すのは、藤からしてみればバカバカしくて、面白くない。

「あのさ……、こうやって見るとわかるね。私、どう足掻いても、だめだ……」

向日葵はしゃくりあげながら、それでも眼を逸らさずに、ずっと太陽を見ている。
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