midday crow
……来ると言ったのに!

最終曲は“コア”だ。

光輝を思って作った曲。

おまえが聴かないで──誰が聴く!

「──俺たちは」

一人苛立つ紅羽は、マイクを通した太陽の声に動きを止めた。

「俺たちは、“midday crow”だ」

観客に向けて太陽が喋っている。

「次が最後の曲になる。“コア”と名づけた。──大切な人たちを思って作った曲だ」

観客の中の──どこかにいるはずの、光輝に向けて、喋っている。

太陽は光輝を信じている。

であれば──紅羽も信じよう。

「最後まで──盛り上がろうぜ」

ぞくりとする笑みを唇に乗せて、太陽がささやいた。

悲鳴のような叫び声が湧き上がって、紅羽たちは目を見交わす。

彩人がスティックを振り下ろした。
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