midday crow
阿鳥光輝は──。

音だけは届くが、ステージからは離れた場所で、意味もなく突っ立っていた。

拍手や歓声で盛り上がっていることが伝わってくる。

それを嬉しく思って、同時に──。

悔しくも思ったのだ。そんな資格もないくせに。

彼ら四人から逃げ出したくせに。

彼らの姿を見て、自分を確認されることが、どうしてもできずに、こんなところにいるのだ。

「……くそっ」

不甲斐ない。

そんな自分に一番苛立つ。
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