midday crow
「家出てからひたすら歩いてた!」

「まじで?」

「おう」

言われてみれば、以前よりがっしりした体つきになっているように見えなくもない。

「……てか根本はそこじゃないよね。なんで家出したの?」

冷静に疑問を挟むのは彩人で、やっぱり常識人である。

「家出じゃねーよ、旅。男なら一度は憧れるよね!」

「今のは誤魔化したよな? 殴っていい?」

「ごめんなさい紅羽さん」

「てか殴るね。決めてたから」

「待って待ってどこを殴る気」

「顔」

「そんな、俺を傷物にするつもり!?」

殴った。

「うおあ!」

躱された。

「大人しく殴られたらどうだ」

「命の危機を感じる」

「……あのー」

呆気に取られた声がして、紅羽と光輝は同時に振り向く。
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