midday crow
しかし、まったく予期していなかった(なにぶん誕生日を忘れていたので)出来事で、太陽はすっかりハイテンションになっている。

「よっしゃー! めっちゃ練習がんばるー!」

「あ、太陽くん」

両手を振り回しかけたところで紅羽が呼び止めた。

「これ、あげる」

太陽に向かって簡素な袋を投げてよこして、それきりまた知らない顔に戻った。

怪訝半分、期待半分で、太陽は紅羽を見つめる。

「え、うそ。まさか」

「大したものじゃないんだけど。ものすごく実用的なんだけど」

なんとなく言い訳がましい言葉を聞きつつ、袋の中身を取り出してみる。

ギターピックと弦だった。
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