midday crow
「その人、すごかったんだね」

驚いたふりもしておく。

実は知っていた。

というか紅羽もできる。

昔、光輝に泣きつかれて、手伝ったことすらある。

彩人のにこにこ顔は変わらない。

居心地が悪い、なにか別の話題を。

「なー、誰か新曲一緒に考えてくれよー」

ぐんにゃりしている太陽の話に乗ってみる。

「太陽くんって、どんなふうに曲作ってるの?」

ちなみに、紅羽は彼らを下の名前で呼ぶ。

なぜかというと、下の名前で呼ぶ習慣がついているからだ。

光輝が彼らを名前で呼んで、よくバンドの話をした。

聞き手に回る紅羽も、名前を覚えて呼ぶようになっていた。

今さら名字呼びに変えられなかったので、そのままである。
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