midday crow
『紅羽ぁー』

情けない声を上げるのは光輝だ。

紅羽は問題集を解く手を止めて、眼前の男を見る。

情けない顔で彼が見返していた。

『なに?』

『どうにもわからん』

すすす、と二人の間に鎮座しているローテーブルの上で紙を滑らせてくる。

それは五線譜のようで、途中まで書かれてあった。

『続き、どんなふうにしたらいいか』

『太陽くんはなんて?』

話に聞くだけ、学内でも遠目にしか見たことのない男のことを親しげに呼ぶ。
< 57 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop