midday crow
「あ……、ごめん。ちょっと考えごとを」

「ふうん? 大丈夫ならいいけど」

そう言って引き下がる太陽の、伏せた目を盗み見た。

太陽が抱える、目に見えない宝石を、紅羽の手で形作る。

お互いだからできること。

そう思うと、些細な優越感と喜びが込み上げてきてしまう。

──いけない、いけない。

浮ついた気持ちを追い払う。

楽しいだなんて思ってはだめ。

私は代用品にすぎない──。
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