midday crow

公衆電話、と表示されていた。

どこかのバカの置き手紙が、自然と浮かぶ。

じゃあまた連絡するわ、公衆電話から──。

なぜ公衆電話からかというと、連絡が取れないように、彼はスマホを置いていったからだ。

校舎から距離を取りつつ、紅羽は通話ボタンを押した。

「──はい」

『あ、紅羽ー？ 俺俺ー』

詐欺か。

「ふざけてると埋める」

『すみませんでした』

電話の主は紛れもなく、この春旅に出た──という名の家出をかましやがった、阿鳥光輝その人であった。