midday crow
しばらくお互い無言だった。

やがて口を開いたのは彩人のほうだった。

「光輝って、言ったよね?」

血の気が引くように思えた。

言った、確かに……気にする余裕がなくて。

必死で頭を回して考える。

誤魔化す方法を。

コウキなんて珍しい名前でもない。そういう友だちからだということにしてしまえば。

だったら紅羽のこの動揺ぶりはどうだ。

後ろめたいことがあるからでは。

だめだ──。
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