midday crow
半開きの口からは、わずかな言葉も漏れなかった。

ただ紅羽は諦めた。

視線を落とし、唇を軽く噛んで、心を決める。

次に彩人に向けた瞳には、真摯な光があった。

「言った」

肯定の言葉を告げる。

「光輝って、俺らの知る光輝でいいのかな?」

「春先に消えたあいつのことで間違いない」

「……知り合いなんだ」

「そうなる」

んー、と彩人は困ったように笑う。
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