midday crow
瞳には、懇願するような光が宿っているように、紅羽には感じられた。

「紅羽ちゃんは旅に出るわけじゃないよね。同じ校内にいる。でもそういうことじゃない。俺たちのバンドという、その場所からいなくなる」

「……うん」

「光輝みたいに、黙って?」

ずきり、となぜか針で刺されたように胸が痛んだ。

「……それは……」

「紅羽ちゃんは、自分の存在を軽いものだと、思っていそうだけど。そうでもないよ。特に、太陽からしてみれば」

そういうのを求めていたわけじゃない。
< 83 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop