midday crow
絞り出すような声である。

これはなかなか時間がかかりそうだ、と紅羽は少し眉根を寄せる。

「うん。ゆっくりでいいよ」

「……伝えたいことは、山ほどあるはずで……、感情は確かにあるんだ。それが……言葉にならない……」

「うん」

「無理やり書いてみても、俺の気持ちとなんか違うんだよ」

「そうなんだね」

「あと、なにから言ったらいいのかわからん……」

「おお」

場合じゃないのに思わず感嘆の声を漏らしてしまった。

彩人がピースサインをしている姿を思い浮かべる。
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