midday crow
太陽が虚をつかれたような顔をした。

彼をまっすぐに見て紅羽は続ける。

「喜びの曲は、喜びで飾ってあげたらいいの。悲しみや怒りは、今後曲にすればいい」

「……紅羽」

「ん?」

太陽は真顔で、紅羽の頬に手を伸ばした。

紅羽は動けない。太陽の目が紅羽を射抜いている。

二人の視線は絡み合うものじゃない。ぶつかりあって、純粋に透明に、光のようにまっすぐだ。

太陽の手が触れた。
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