midday crow
太陽の手が紅羽の髪をまさぐっている。

どうして私たちは、恋人でもないのにこんなに体を密着させているのだろう。

ふと我に返って、ぎゅっと学ランの袖を握った。

「そうか……、光だけを歌えばいいのか」

「それでいいと思うよ。太陽くん、暗めの曲が作れないわけじゃないでしょ?」

「うん」

「他の感情は、それぞれ大事にしてあげればいいよ」

「……そっか」

太陽の声は嬉しそうだ。
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